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第二期南極海鯨類捕獲調査(JARPAII)の第二次調査船団の入港について

平成19年3月23日
財団法人 日本鯨類研究所


1.JARPAIIの概要

日本政府は、南極海のクロミンククジラ資源に関する科学的情報を収集して、鯨類の持続的利用の達成に資することを目的として南極海鯨類捕獲調査(JARPA)の実施を決定し、財団法人日本鯨類研究所が、政府からの調査実施許可と財政支援を受けて、1987/88年からJARPAを開始した。 このJARPAは、2年間の予備調査を含む18年間の長期調査計画であり、多大な成果をあげて2005年春に終了した。

JARPAの解析から、南極海生態系がナンキョクオキアミを鍵種とする単純な構造をもち、オキアミを巡ってヒゲクジラ類の間で競合関係のあること、さらに、初期の商業捕鯨で低位の水準にあったナガスクジラ、ザトウクジラ等の資源も、モラトリアム以前から実施された資源保護により、資源を回復しつつあり、近年では目覚ましい回復傾向を示していることも示唆された。 これらの調査結果は、いずれも、ヒゲクジラ類資源を適切に管理していくためには、単一鯨種ごとに資源動態やその将来予測を行うのではなく、南極海生態系の構成員としての鯨種の位置づけを明らかにし、鯨種間関係も併せて総合的に考える必要のあることを示している。

そのため、我が国は鯨類を含む南極海生態系のモニタリングを行うとともに、適切な鯨類資源管理方法の構築に必要な科学的情報を得るため、致死的および非致死的手法の双方を含む総合的な調査として第二期南極海鯨類捕獲調査(JARPAII)を実施することを決定し、財団法人日本鯨類研究所が日本政府からの調査実施許可及び財政支援を受けてJARPAに引き続き2005/06年から本調査を開始した。

本年の第二次調査では、海域を第V区と第VI区西側海域において(東経130度〜西経145度、南緯60度以南)、本来の調査目的(1. 南極海生態系のモニタリング、2. 鯨種間競合モデルの構築、3. 系群構造の時空間的変動の解明、4. クロミンククジラ資源の管理方式の改善)に加えて、調査の実行可能性の更なる検証のための情報収集も目的とする予備調査として実施した。


2.今次調査の概要

本年の調査は、昨年同様、3月下旬まで南極海にとどまって調査を実施し、4月中旬の帰港を予定していたが、2月15日に発生した火災により、2月28日をもって調査を中断し、帰港することとなった(別添1)。 また、2月9日及び12日には、反捕鯨団体シーシェパードによる危険かつ不当な妨害活動があり、船員2名が負傷した(別添2)。

なお、日新丸や海幸丸などの調査船が入港する大井水産埠頭は、国際条約(SOLAS条約)に基づく「国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律」により、国際埠頭施設の制限区域に指定されているため、関係者以外の立ち入りが禁止されており、マスコミによる随時の取材が認められていない。 そのため、27日(火)に農林水産省にて、調査団長、船長、水産庁漁業指導監督官等による共同記者会見を実施する予定である。

(1)航海期間:

2006年11月15日〜2007年3月23日(2月28日に調査中止)

(2)調査海域:

南極海第V区全域及び第VI区西側海域(南緯60度以南、東経130度〜西経145度)

2006/07JARPAIIの調査海域


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(3)調査員:

調査団長 西脇 茂利 ((財)日本鯨類研究所 調査部長)
(財)日本鯨類研究所より西脇団長他14名が参加

(4)調査船と乗組員数(監督官、調査員を含む):

調査母船 日新丸  (8,030トン 小川 知之船長 以下149名)
目視採集船 第二勇新丸 (747トン  松坂 潔船長 以下21名)
目視採集船 勇新丸 (720トン   廣瀬喜代治船長 以下21名)
目視採集船 第一京丸  (812.08トン 佐々木安昭船長 以下22名)
目視専門船 第二共新丸 (372トン  竹下 湖二船長 以下22名)
目視専門船 海幸丸 (860.25トン  南 淨邦船長 以下24名)
合計 259名

(5)標本採集数:

クロミンククジラ  505頭
ナガスクジラ    3頭

(6)調査結果要約:

・クロミンククジラは、調査海域内に広く分布し、その発見数は前回の調査と同様であり、依然として高い資源水準を保っていることが示唆される。

・クロミンククジラは、ロス海(第V区南部東海域)で特に多数発見され、全クロミンククジラ標本(505頭)の66.1%にあたる334頭が、同海域から採集された。 これらの標本は、大半が雌(294頭、88%)であり、またその大部分が妊娠個体(242頭)であった。 このことは、クロミンククジラ、特に妊娠雌個体にとって、ロス海が重要な索餌場である可能性を示唆している。

・ザトウクジラやナガスクジラは、第V区の北部東海域及び第VI区北部海域で発見され、これらの体重を考慮して生物量(重量)で比較すると、ザトウクジラやナガスクジラの生物量はクロミンククジラのそれと比較しても、無視できない生物量となっており、これら3鯨種が南極海生態系において大きな消費者としての位置にあることが示唆される。

・今次調査においても、ナガスクジラの採集を試み、合計3頭のナガスクジラを採集した。 2回のJARPAII調査で採集したナガスクジラの平均体重は50.0トン(最大: 65.0トン)であった(これらの体長は平均19.6mで、最大21.2m)。 本調査で得られたナガスクジラの体重は、既報の値を大きく上回っており、同種の生物量がこれまで過少評価されていた可能性を示唆している。 また、このナガスクジラの餌生物がクロミンククジラと同様にナンキョクオキアミであったことから、オキアミを中心とする南極海生態系におけるナガスクジラの役割は、クロミンククジラと同様に重要であると考えられる。

・JARPAII調査では、ヒゲクジラ類の主要な餌生物であるナンキョクオキアミの資源調査も併せて実施している。 昨年までは、目視専門船において計量魚探による音響調査のみを実施したが、今次調査では、さらに小型中層トロール網(IKMT)による餌生物調査も実施した。 これらの調査から、ヒゲクジラ類と餌生物の関係並びに南極海生態系におけるヒゲクジラの役割解明に貢献することが期待される。

・また、今次調査では、調査海域内でシロガスクジラ1群並びにザトウクジラ14群の親子連れを確認した。 これらは、いずれも西経156度から160度までの沖合域で発見され、自然標識及びバイオプシー採取実験を実施した。 これらの解析により、両鯨種の回遊や生活史解明への貢献が期待される。

・シーシェパードによる環境テロ攻撃を受け(別添2)、また日新丸火災事故により調査の中断を余儀なくされたが(別添1)、調査中断によって未調査となった海域(第V区西側海域)を除けば、計画通り調査は実行され、所期の目的は達成された。


2006/07JARPAIIに参加した調査船

左:調査母船 日新丸、中:目視採集船 第二勇新丸、目視採集船 勇新丸
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左:右:目視採集船 第一京丸、中:目視専門船 第二共新丸、右:目視専門船 海幸丸
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(参考)

国際捕鯨取締条約第8条(抜粋)

1.この条約の規定にかかわらず、締約政府は、同政府が適当と認める数の制限及び他の条件に従って自国民のいずれかが科学的研究のために鯨を捕獲し、殺し、及び処理することを認可する特別許可書をこれに与えることができる
2.前記の特別許可書に基づいて捕獲した鯨は、実行可能な限り加工し、また、取得金は、許可を与えた政府の発給した指令書に従って処分しなければならない。

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