ホーム メール 印刷用
写真
写真
translate

2019年度IWC/日本共同北太平洋鯨類目視調査の終了について
−IWC-POWER調査航海−


令和元年9月27日
(一財)日本鯨類研究所


1 経緯

本調査はIWC(国際捕鯨委員会)と我が国が共同で実施しているもので、IWCでは通称POWER(Pacific Ocean Whale and Ecosystem Research )と呼ばれています。 この調査は2009年度まで南極海で行われていた世界的な成功例として高い評価を得ているIWCの調査計画IWC/SOWER (International Whaling Commission-Southern Ocean Whale and Ecosystem Research:南大洋鯨類生態系調査、1996/97年度〜2009/2010年度)での経験と実績を踏まえ、そのノウハウ等を活用して、IWC/SC(国際捕鯨委員会/科学委員会)の主要研究課題に則って、2010年度より実施されています。

昨年までの調査では、過去数十年にわたって広域的調査が実施されてこなかった北緯40度以北のアラスカ湾海域において多数のナガスクジラやイワシクジラが発見されたほか、北緯40度以南の海域では多数のニタリクジラやマッコウクジラが発見され、客観的な資源評価に貢献する貴重なデータが収集されました。 今回は、その第10回目の調査航海として、アラスカ湾(米EEZ内)を対象に調査を実施しました。 セミクジラを対象とした鳴音録音実験が実施されたほか、アラスカ・ダッチハーバーならびにコディアックに寄港して外国調査員の乗下船や調査資材積込み等が行われました。 なお、日本政府は、IWC脱退後も、本プログラムに対する継続的な貢献を表明しています。


2 調査計画と結果概要

本件目視調査は、IWCと日本国政府の共同調査としてIWC/SCがその計画の策定を行い、同委員会内に設置されたPOWER運営グループが計画の立案と結果の分析を主導します。 また、当研究所が水産庁から委託を受け、国立研究開発法人水産研究・教育機構国際水産資源研究所や米国NOAA/NMFSアラスカ漁業科学センター(AFSC)等関係機関と協力しながら調査航海を実施しました。

本年の調査計画とその結果概要は以下のとおりです。 調査海域では多数のナガスクジラ、ザトウクジラ、マッコウクジラが発見され、同資源の頑健さがあらためて示唆されました。 また、希少種であるシロナガスクジラも予想以上に発見され、同資源の順調な回復が示唆されました。 また、発見鯨に対して、個体識別写真の撮影やDNA採取を行いました。 残念ながら、希少種であるセミクジラの発見はありませんでした。 調査結果の詳細は来年のIWC科学委員会年次会議などで発表されます。


2.1 主要調査目的:

(1) イワシクジラ、ザトウクジラならびにコククジラの詳細資源評価に関する情報収集

(2) 希少種である北東太平洋のセミクジラ資源に関する情報収集

(3) ナガスクジラ等の北限に関する情報収集

(4) 過去の捕獲により減少したが現在の資源状況が不明なものを含む、知見が不足している鯨類資源に関する情報収集

(5) 本プログラムの中長期計画の立案に関する情報収集


2.2. 航海期間:

令和元年7月6日(塩釜出港)− 9月28日(塩釜入港)(全85日間)


2.3. 調査海域

北緯46度以北、アリューシャン列島ならびにアラスカ半島以南、西経170度以東、西経135度以西のアラスカ湾海域の一部(全て米国EEZ:図1)。


2019調査海域図

図1. 2019年の調査海域とその調査コース(黄色内太線)。


2.4. 国際調査員 :

松岡耕二(日本・調査団長・日本鯨類研究所)
Jessica Crance(米国・Alaskan Fisheries Science Center, NOAA/NMFS, USA)
James Gilpatrick(米国・Southwest Fisheries Science Center)
吉村勇(日本・IWC選任国際調査員)


2.5. 調査船 :

第二勇新丸((747トン)、共同船舶(株)所属、大越親正船長以下18名)


2.6. 総探索距離 :

2,976.0海里(約5,512km)


2.7. 主要な発見鯨種 :

シロナガスクジラ19群21頭、ナガスクジラ266群458頭、イワシクジラ26群43頭、ザトウクジラ173群402頭、コククジラ6群15頭、ミンククジラ6群6頭、マッコウクジラ50群61頭、シャチ55群269頭、イシイルカ型イシイルカ89群518頭


2.8. サンプル採取結果等:

(1)個体識別写真撮影(個体数)
コククジラ6頭、シロナガスクジラ16頭、ナガスクジラ51頭、ザトウクジラ30頭、シャチ19頭(全122個体)

(2)バイオプシー・サンプル採集(個体数)
コククジラ2頭、シロナガスクジラ12頭、ナガスクジラ45頭、イワシクジラ4頭、ザトウクジラ12頭、(合計75個体)

(3)鳴音録音
229観測点において820時間の音響モニタリングを実施し、シロナガスクジラ、ナガスクジラ、ザトウクジラ、セミクジラ、コククジラ、マッコウクジラ、シャチ等の鳴音録音を行った。


写真:2019年度調査の様子(IWC提供)

photo photo photo
シロナガスクジラの親子 浮上直後のナガスクジラ コククジラの尾びれ(裏側)
photo photo photo photo
シャチの尾びれ(裏側) 使用したバイオプシー機器と採取したナガスクジラの皮膚片 ダッチハーバー港における米国音響資材積込み作業 コディアック港着岸中の第二勇新丸(中央)

2019年度IWC/日本共同北太平洋鯨類目視調査の終了について−IWC-POWER調査航海− PDF形式

Valid XHTML 1.0 Transitional