日本政府は2016年11月に、北西太平洋鯨類科学調査計画案(NEWREP-NP:ニューレップ エヌピー)を策定して、国際捕鯨委員会(IWC)科学委員会に提出しました。 本計画案は、その後、IWC科学委員会によるレビューを受けた上で、2017年6月に最終化され、同年より開始されました。
このNEWREP-NPは、日本沿岸域におけるミンククジラのより精緻な捕獲枠算出と、沖合におけるイワシクジラの妥当な捕獲枠算出に必要な情報を収集することを主目的とした調査計画です。 本調査によって、改訂管理方式(RMP)に適用される時空間的な系群構造や、性成熟及び年齢といった生物学的特性値の情報を収集し、捕獲枠算出の精度向上に貢献する事が期待されます。 調査期間は12年間で、調査開始から6年後に中間評価を実施する予定です。 衛星標識、バイオプシー及び目視調査など非致死的調査を含めて、外部研究機関との連携を強化します。 今年が2回目の調査となります。
NEWREP-NPは、沖合調査(本調査)と沿岸域調査から構成されており、日本鯨類研究所は沖合調査の調査実施主体となっています。
目視採集船勇新丸及び第三勇新丸は5月17日にそれぞれ塩釜港と下関港より、調査母船日新丸は、同日に土生港より出港し、調査を実施する予定です(8月中旬終了予定)。 調査海域は、北西太平洋北緯35度以北、日本沿岸から東経170度までの北西太平洋(7、8、及び9海区)の一部海域(図1)です。
今調査では、捕獲標本数はイワシクジラ134頭及びミンククジラ43頭を予定しています。 また、非致死的手法による調査として、バイオプシー(皮膚標本)の採取や衛星標識装着実験などを予定しています。
一般財団法人 日本鯨類研究所
調査母船 日 新 丸 ( 8,145トン 江口 浩司 船長以下99名)
目視採集船 勇 新 丸 ( 724トン 阿部 敦男 船長以下19名)
目視採集船 第三勇新丸 ( 742トン 大越 親正 船長以下19名)
調査団長 小西 健志((一財)日本鯨類研究所 調査研究部海洋生態系研究室主任研究員)他9名の計10名
(参考) 国際捕鯨取締条約第8条(抜粋)
1.この条約の規定にかかわらず、締約政府は、同政府が適当と認める数の制限及び他の条件に従って自国民のいずれかが科学的研究のために鯨を捕獲し、殺し、及び処理することを認可する特別許可書をこれに与えることができる。
2.前記の特別許可書に基づいて捕獲した鯨は、実行可能な限り加工し、また、取得金は、許可を与えた政府の発給した指令書に従って処分しなければならない。