2000年から実施しています第二期北西太平洋鯨類捕獲調査(JARPNII:通称 ジャルパン・ツー) では、鯨類(ミンククジラ、ニタリクジラ、イワシクジラ及びマッコウクジラ)が消費する餌生物の種類や量、鯨類の餌生物に対する嗜好性などを調べて鯨類の摂餌生態を解明するとともに、それらの相互関係を基にした生態系モデルの構築を進めて、鯨類を含む日本周辺の水産資源の包括的管理に貢献することを第一の目的として取り組んでいます。
しかしながら、今年3月31日に出された国際司法裁判所(ICJ)による第二期南極海鯨類捕獲調査(JARPAII)の判決を受け、本年度の北西太平洋の調査(沿岸調査及び沖合調査)については、調査目的を限定するなどして規模を縮小して実施することとなりました。
今次の調査目的は、鯨類の摂餌生態及び海洋生態系における役割を解明し、生態系モデルの構築を目指すことです。
日新丸は、5月16日に土生港より、勇新丸及び第二勇新丸は同日下関港より出港し、捕獲調査を実施する予定です(7月下旬終了予定)。
また、第三勇新丸は、5月11日に塩釜港から出港し、鯨類の目視調査を中心とする非致死的調査に従事します(6月下旬終了予定)。
調査海域は、従来通り北西太平洋北緯35度以北、日本沿岸から東経170度までの北西太平洋(7、8、及び9海区)の一部海域(図1)です。
今次調査では、非致死的手法による調査を充実させ、実行可能性に関する検証を行います。 このため、必要標本数は、イワシクジラ100頭(内10頭は非致死的手法で実施、捕獲せず)及びニタリクジラ50頭(内25頭は非致死的手法で実施、捕獲せず)です。
一般財団法人 日本鯨類研究所
調査母船 日 新 丸 ( 8,145トン 小川 知之 船長以下107名)
目視採集船 勇 新 丸 ( 724トン 佐々木 安昭 船長以下20名)
目視採集船 第二勇新丸 ( 747トン 阿部 敦男 船長以下20名)
調査団長 田村 力((一財)日本鯨類研究所 調査研究部室長)他9名の計10名
(参考) 国際捕鯨取締条約第8条(抜粋)
1.この条約の規定にかかわらず、締約政府は、同政府が適当と認める数の制限及び他の条件に従って自国民のいずれかが科学的研究のために鯨を捕獲し、殺し、及び処理することを認可する特別許可書をこれに与えることができる。
2.前記の特別許可書に基づいて捕獲した鯨は、実行可能な限り加工し、また、取得金は、許可を与えた政府の発給した指令書に従って処分しなければならない。