反捕鯨団体シーシェパード(SS)は航行不能になったSS所属船アディ・ギル(AG)号の船体を回収し、あるいは曳航する努力を放棄したと見られる。 AG号の船体そのものがゴミになるおそれがあるのに加え、その船体からは燃料と思われる油状の物質が流出し、付近の海面に大きく広がっていることも確認されており、南極海洋環境への悪影響が懸念される。
第二昭南丸からの報告によれば、AG号とともに調査船への妨害活動を行っていたSS所属船ボブ・バーカー(BB)号は当初AG号船体を曳航する様子を見せていたが、日本時間の1月8日早朝までにAG号船体を放棄して現場を離れた。 第二昭南丸は1月6日のAG号による衝突の後、同じく第二期南極海鯨類捕獲調査(JARPAII)船団に所属する第三勇新丸とともに救助支援のために現場付近にとどまっていた。
また第二昭南丸が現場海域でAG号船体の一部やAG号由来の漂流物を回収したところ、ボウガン用と思われる矢が含まれていた。 これは人に対して使用されれば殺傷能力がある危険なものである。これまでも調査船や乗組員に対して危険な化学物質を投げつけたり、ロープ射出用のロケットを発射したりしてきたSSが悪質な妨害活動をさらにエスカレートさせ、 調査船乗組員の殺傷さえ辞さない態度であることが強く疑われる。 当研究所としてはSSを厳しく非難するとともに、SS所属船舶の旗国であるオランダとニュージーランド、事実上の母港を提供しているオーストラリアの各国当局がSSに対して直ちに厳正な対処すること強く要望する。