第二期南極海鯨類捕獲調査(JARPAII)活動中の調査母船日新丸(NM)は、 1月6日午前0時頃(日本時間)反捕鯨団体シーシェパード(SS)の新船ボブ・バーカー(BB)号*と遭遇し、その後現れたSS所属のアディ・ギル(AG)号から約2時間にわたり、激しい妨害を受けた。
AG号は、午前3時頃より、前回12月23日に調査船団所属の第二昭南丸に対して行った妨害と同様に、NM船首直前を衝突寸前の距離で走り回り、 船尾から浮子の付いたロープを何度も投入して、NMのスクリューや舵を狙った攻撃を仕掛けた他、NM乗組員に向けて頻繁にレーザー光線を照射した。 さらに、ランチャーのような発射装置を使ってNMに向けて酪酸を詰めたボール様の物体を撃ち込み、このうち1個がNM甲板に着弾した。 これに対してNMは、長距離音響発生装置(LRAD)を用いて警告を行うと共に、放水でAG号の接近阻止を試みた。一連の攻撃でNM乗組員に被害は出ていない。
SSの妨害行為は、より過激になってきている。肉眼に照射すれば失明の恐れのある高出力レーザーを頻繁に照射し、 皮膚や眼に極めて有害な酪酸をランチャーで撃ち込むなど、乗組員を直接狙った犯罪的な行為が平然と行われている。 また、航行中の船のスクリューに向けて投入されたロープは洋上のゴミとなり、南極の環境を破壊している。
当研究所は、SSが自ら主張するような環境保護団体などではなく、鯨保護を名目に資金を集めて暴力を撒き散らすだけの危険な集団であることを改めて指摘すると共に、 調査船と乗組員の安全を脅かす危険な暴力行為を強く非難する。 また、SSの船に事実上の母港を提供しているオーストラリアは、昨年末危険な妨害行為を行ったSI号が入港した際にも、何ら具体的な行動を取らなかった。 AG号の船籍国はニュージーランド、SI号の船籍はオランダである。 当研究所は、これらSS船の船籍国がただちに該船の船籍を抹消し、その犯罪行為に対して厳正に対処することを強く求めるとともに、SSに港を提供する関係国が、利用可能なあらゆる手段を講じ、 SSの暴力行為が再発しないよう努めるべきである事を強く指摘する。
*SSの新船BB号は、SSのウェブサイトによれば元ノルウェイ捕鯨船(1200t)で、モーリシャスを12月18日に出港したとされる。 なお、豪州ホバートで補給を行った後12月31日に再出港したSSのスティーブ・アーウィン(SI)号は、現在まで調査船団付近に姿を現していない。