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妨害差止命令訴訟

2011年12月8日、共同船舶株式会社及び(一財)日本鯨類研究所は、調査船団の船長らと共にアメリカ合衆国ワシントン州連邦地方裁判所にて、シーシェパード・コンサベーション・ソサエティ(以後SSCS)およびポール・ワトソンを提訴。併せて、裁判所の差止命令の処分をも求めた。

本訴訟の目的

南極海において行われる鯨類捕獲調査に従事する船舶やその船長、乗組員と調査員の安全がSSCSおよびポール・ワトソンの活動によって損なわれないよう、その妨害差し止め、具体的には、SSCS所属の妨害船が調査船の乗組員や調査員及び船舶に妨害を行わないこと、妨害船が調査船の一定距離に近寄らないことを求めるもの。

経緯

2012年3月19日、連邦地方裁判所が仮差止命令の申し立てを棄却する決定を下したため、2012年4月10日、この連邦地裁の決定を不服として、高等裁判所にあたる第九巡回控訴裁判所にその決定の再審理を求める上訴を行った。 これにより、訴訟の場がワシントン州連邦地裁から第九巡回控訴裁判所に移行した。

2012年12月17日、第九巡回控訴裁判所は、SSCSによる南極海鯨類捕獲調査船団への妨害行為の差止命令を認める仮差止命令を発出し、永久的差止命令の審理を連邦地裁に差し戻した。 

しかしながら、SSCSが上記の仮差止命令を無視して引き続き妨害を継続したため、我々は、2013年2月11日にSSCSに対し法廷侮辱の裁定を申し立て、提訴した。

2014年12月19日、同裁判所はポール・ワトソン、SSCS及びSSCS理事6名が法廷侮辱に当たると判示し、原告の弁護士費用・経費及び被告の妨害により生じた損害を弁済するよう命令。

その後、連邦地方裁判所に差し戻しとなった永久差止の裁判の証拠開示手続きが開始されたが、2016年8月上旬にシアトルで開催された調停協議で、SSCS及びポール・ワトソンとこの紛争を解決するための調停合意に至った。

この合意に基づき、2016年8月22日に連邦地方裁判所に永久的妨害差止命令を執行させるための申し立てを行った。

2016年8月24日、連邦地方裁判所が永久的妨害差止命令を執行し、これに伴い2016年9月1日に第九巡回控訴裁判所が仮差止命令を解除した。

これにより、2011年に始まったアメリカ合衆国での訴訟は、反訴も含め正式に終結した。


SSCSに対する妨害行為差止め請求訴訟の主な経緯

ワシントン州連邦地方裁判所に関する事柄:赤色

第九巡回控訴裁判所に関する事柄:青色

米国最高裁判所に関する事柄:緑色


現地時間

2011.12.08 ワシントン州連邦地方裁判所に日本鯨類研究所、共同船舶、船長らが提訴(本訴:永久的妨害差し止めを求める)

2011.12.14 ワシントン州連邦地方裁判所に仮処分申し立て(本訴で結審するまでの間、妨害差止めを求める)

2012.03.19 ワシントン州連邦地方裁判所が仮処分申し立て棄却

2012.04.10 第九巡回控訴裁判所に仮処分棄却の再審理を求めて上訴

2012.12.17 第九巡回控訴裁判所が妨害差止めの仮処分命令を発出(第九巡回控訴裁判所の判決が出されるまで、この仮処分は効力を持つ)

2013.02.01 ワシントン州連邦地方裁判所が命令を発出:第九巡回控訴裁判所の仮処分命令に関するものを除き、すべての訴訟手続きが第九巡回控訴裁判所の結審まで凍結

2013.02.11 第九巡回控訴裁判所に当方よりSSCS及びポール・ワトソンに対し法廷侮辱罪を申立て

2013.02.21 第九巡回控訴裁判所が特別裁判官補佐官を指名し、法廷侮辱罪についての調査を命じる

2013.02.25 第九巡回控訴裁判所が法廷意見を発出し、妨害差止の仮処分を認める判断を下す: 本訴が連邦地裁に差し戻される。衡平な裁判のため連邦地裁の判事交代を命令。なお、本仮処分は第九巡回控訴裁判所があらたな命令を下すまで有効。

2013.05.24 第九巡回控訴裁判所が命令・修正判断を発布し、公聴会の再度開催を求めていたSSCSの申し入れを棄却

2013.06.10 ワシントン州連邦地方裁判所の新判事にJames L. Robart氏が任命される

2013.10.28-11.06 特別裁判官補佐官による法廷侮辱の審理 (ヒアリング)を開催

2014.01.31 上記審理を踏まえ、特別裁判官補佐官がSSCSは法廷侮辱には当たらないという主旨の報告書および勧告を第九控訴巡回裁判所に提出

2014.03.07 上記勧告を不服として、当方より第九巡回控訴裁判所に反論を提出し、口頭弁論を要請

2014.04.28 新判事が第九巡回裁判所の法廷侮辱が結審した後に、本訴の再開を決定

2014.10.27 第九巡回控訴裁判所が口頭弁論を開催

2014.12.19 第九巡回控訴裁判所が法廷意見を発布し、ポール・ワトソン、SSCS、SSCS理事6名が法廷侮辱にあたると裁定。原告の弁護士費用・経費および被告の妨害により生じた損害を弁済するよう命令

2015.04.03 新判事が本訴の裁判日程を2016年10月11日に決定

2015.04.28 第九巡回控訴裁判所の法廷侮辱の裁定を不服として、SSCS、PW、SSCS理事らが最高裁に上告

2015.06.08 最高裁がSSCSらの上告を否決し、法廷侮辱が確定

2015.06.08 原告と被告の間で12月19日の賠償命令に関する示談が成立。SSCS側が原告に賠償金255万ドルを2015年7月1日までに支払(済)

2016.04.22 ワシントン州連邦地方裁判所での証拠開示手続き及びスケジュールについてのヒアリング開催

2016.08  シアトルで調停人を介した調停協議が開催される

2016.08.22 SSCS及びポール・ワトソンに対し永久差止命令を執行させるための申し立てを、SSCS及びポール・ワトソンとの調停合意に基づきワシントン州連邦地方裁判所に提出

2016.08.24 ワシントン州連邦地方裁判所が永久差止命令を執行

2016.08.25 原告が第九巡回控訴裁判所に妨害仮差止の解除を申し立て

2016.09.01 第九巡回控訴裁判所が妨害仮差止の解除を命令


資料

・米国第九巡回控訴裁判所 仮処分命令(日本語訳)

・米国第九巡回区控訴裁判所の法廷意見(日本語訳)

・第九巡回控訴裁判所の命令・修正判断(原文;英語版)

・ワシントン州連邦地方裁判所の永久差止命令(日本語訳) (原文;英語版)


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