グリーンピースとシー・シェパードによる妨害船が危険かつ違法な妨害活動を展開したのち南極海を離れ豪州の港に向かったが、 日本は南極海で行っている鯨類科学調査を当初の計画通りに遂行する。
日本鯨類研究所の森本稔理事長は、本日、次のように述べた。「調査船は、国際捕鯨委員会(IWC)の科学委員会に報告しているとおりの調査計画を遂行していくことになろう。」
この調査計画には、850頭のクロミンククジラと50頭のナガスクジラを捕獲する致死的調査と並んで、目視調査や遊泳中のクジラから組織片を採集する調査など、 非致死的手法による調査も織り込まれている。
「日鯨研としては、グリーンピースとシー・シェパードによる調査船への妨害が加えられている間、一時的に調査を中断していた。 これは調査船の乗組員、科学者の安全に万全を期すための措置だったことはもちろんだが、同時に、非常に危険な調査妨害を仕掛けてきた活動家らの安全も図るためだった。」(森本理事長)
森本理事長は「今次の調査航海でも、所期の調査目的が達成できるものと確信している」と述べ、「日本の調査は鯨類資源の管理にとって決定的に重要なものだ。 というのはIWCよる規制措置はすべて科学的知見に基づかなければならないからで、それは国際捕鯨取締条約が定めていることだ。」と語っている。
さらに森本理事長は次のように言葉を続ける。商業捕鯨を巡る議論は是非とも常識をベースにしてもらいたい。 それは保護にせよ、持続的利用にせよ、科学的調査で得られる科学的証拠に基づいて行われるのが原則だ。本当に絶滅のおそれが心配されるようなシロナガスクジラなどの鯨種については保護を図る一方で、 今日、世界中には資源量が豊かな鯨類資源が多く分布し、持続可能なやり方で商業捕鯨を管理していくことが可能になっている。
森本理事長は、調査の妨害を試みてきた団体に対して次のように語っている。 「グリーンピースとシー・シェパードはクジラが絶滅寸前だとの考えを一般に広めようとしているが、そんな考えは偽り以外の何物でもない。 持続可能な商業捕鯨は明日にでも可能だ。これからの商業捕鯨管理は、クジラの数が確実に安定して増えるようにして、世界中の人びとが現在も将来も海からの恩恵を末永く享受することを可能にするものだ。」
最後に森本理事長は、日本の調査活動や調査船への妨害を巡る最近の報道に関して、一部メディアの取り扱いを批判して次のように述べた。 「グリーンピースやシー・シェパードはわれわれの調査活動を『違法だ』『商業的だ』と言い立て、事実無根の誹謗中傷を繰り返しているが、 豪州やニュージーランドではそうした活動家らの言い分を検証しようというジャーナリストはまれだ。これはまったく不幸なことだ。 事実を伝えるという責任を忘れてしまった報道関係者がなんと多いことか。彼らは活動家や妨害団体の言うことがあたかも事実であるかのように、そのまま記事にしてしまっている。」
了