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鯨類の生物学的研究(2001年10月〜2002年9月)

南半球産ミンククジラ捕獲調査(JARPA)  
北西北太平洋産ミンククジラ捕獲調査(JARPN)及び第2期北西太平洋鯨類捕獲調査(JARPNU)  
アセスメントのための目視調査航海  
その他の研究活動


アセスメントのための目視調査航海

(c.1)南半球

(c.1.1) (財)日本鯨類研究所航海

(c.1.1.1) 日本からホバートの航海

昭南丸及び第二昭南丸は南大洋鯨類・生態系調査(IWC/SOWER)参加のための移動航海中、日本からホバート間において目視調査を実施した。 調査期間は2001年11月28日から2001年12月15日であり、総探索距離は計429.8マイルであった。 昭南丸には刈屋(日鯨研)が調査員として乗船した。 第二昭南丸には往航海中は調査員が乗船しないため、小宮(第二昭南丸船長)が調査員業務を代行した。 日本からホバート間の往航路を調査海域とし、外国200海里内では一切の調査を実施せず、トップダウンで航行した。 本調査は原則接近方式とし、調査中に発見された全ての鯨類(イルカ類を含む)の観察、鯨種、頭数、群構成等の情報を記録し、また努力量記録及び天候記録の記載を行った。 往路調査における鯨種別発見群頭数を表8に示した。

表8 往路中低緯度鯨類目視調査(日本からホバート)における鯨種別発見群頭数
   群数 頭数
ニタリクジラ 1 1
マッコウクジラ 12 31
ミナミトックリクジラ 1 2
オウギハクジラ属 3 6
アカボウクジラ科鯨類 1 1
ヒレナガゴンドウ 1 4
マイルカ 5 170
種不明小型クジラ 2 2
種不明イルカ 3 58

(c.1.1.2) ホバートから日本への航海

IWC/SOWER終了後、昭南丸及び第二昭南丸がホバートから日本間で目視調査を実施した。 調査期間は2月22日から3月10日であった。 総探索距離は333.2マイルであった。 昭南丸には刈屋(日鯨研)が調査員として乗船した。 第二昭南丸では小宮(第二昭南丸船長)が調査員業務を代行した。 復航路を調査海域とし、外国200海里内では一切の調査を実施せずトップダウンで航行した。 本調査は原則接近方式とし、調査中に発見された全ての鯨類(イルカ類を含む)の観察、鯨種、頭数、群構成等の情報を記録し、また努力量記録及び天候記録の記載を行った。 復路調査における鯨種別発見群頭数を表9に示した。

表9 往路中低緯度鯨類目視調査(ホバートから日本)における鯨種別発見群頭数
群数 頭数
ミンククジラ 1 1
ニタリクジラ 1 1
ザトウクジラ 1 1
マッコウクジラ 7 14
オウギハクジラ属 1 3
マイルカ 1 5
セミイルカ 1 40
スジイルカ 1 100
リクゼンイルカ型イシイルカ 10 128

(c.1.2)IWC/SOWER

(c.1.2.1)調査目的と体制

本調査の目的は、南極海V区におけるIWC/SOWER及びその往復航海におけるクロミンククジラを主対象とする鯨類の分布、豊度解析及び系統群判別に必要な目視情報更に鯨類分布に関連する海洋データの収集である(クロミンククジラ調査)。 またIWC/SOWERでは、シロナガスクジラとその亜種であるピグミーシロナガスクジラとの識別方法に関する情報収集を目的とするシロナガスクジラ調査も実施する。 クロミンククジラ調査中にシロナガスクジラの発見があった場合にシロナガスクジラ調査を実施する。
本調査は、水産庁長官が当研究所に委託し、それに基づいて用船された昭南丸(709トン、5,500馬力、共同船舶株式会社所有)、第二昭南丸(710トン、5,500馬力、共同船舶株式会社所有)により実施した。

(c.1.2.2)調査期間

本調査の日程を以下に示す。

日付 行動概要
平成13年11月27日 広島県瀬戸田町(内海造船)出港
11月28日 往航目視調査開始
12月10日 ニュージーランドEEZ入域
12月15日 往航目視調査終了
12月17日 ホバート入港
12月18日 調査事前会議
12月20日 昭南丸ホバート出港
12月21日 第二昭南丸ホバート出港
12月21日 昭南丸IWC/SOWER目視調査開始、オーストラリアEEZ出域
12月22日 第二昭南丸IWC/SOWER目視調査開始、オーストラリアEEZ出域
12月26日 調査海域での調査を東経130度から開始
平成14年1月3日 第二昭南丸東経130度から東経140度の間の北部海域での調査終了
1月28日 昭南丸、東経130度から東経140度の調査終了
1月30日 第二昭南丸、東経140度から東経150度間の北部海域の調査終了、南部海域の調査を東経150度から開始
1月31日 第二昭南丸東経140度から東経150度間の南部海域での調査終了
2月3日 第二昭南丸東経150度から東経160度間の南部海域の調査開始
2月6日 第二昭南丸東経150度からのミンククジラ調査を中止しシロナガスクジラ調査開始
2月10日 昭南丸、東経140度から東経150度間のクロミンククジラ調査終了。シロナガスクジラ調査開始、終了
2月16日 オーストラリアEEZ入域
2月18日 ホバート入港
2月19日 調査事後会議
2月21日 ホバート出港
2月22日 復航目視調査開始
2月27日 オーストラリアEEZ出域
3月10日 復航目視調査終了
3月12日 塩釜入港

(c.1.2.3) 調査概要

調査員の配乗は以下の通りである(敬称略)。

昭南丸

ポール・エンサー(ニュージーランド、調査団長)

ポーラ・オルソン(アメリカ)

シャノン・ランキン(アメリカ)

刈屋達也(日本、(財)日本鯨類研究所)

第二昭南丸

関口圭子(日本、首席調査員、(財)日本鯨類研究所)

ジム・コットン(アメリカ)

ロドリゴ・ゲーテ(チリ)

ドン・ヤングブラッド(アメリカ)

クロミンククジラ調査は南緯60度以南の南極海X区西側(東経130度から東経165度)を調査海域と予定していたが、悪天候のため充分な努力量が払えず、東経130度から東経150度までを調査するにとどまった。 また東経150度から東の海域の一部においては、第二昭南丸が調査を行なった。 調査海域を経度10度のセクターごとに分割し、南層が90マイルから150マイル程度の幅を持つように南北層の境界線を一定緯度線上に設定した。 南層の東経130度から148度38分までを昭南丸が、北層及び東経150度から西に向かって東経148度37分までを第二昭南丸が調査した。 シロナガスクジラ調査は、昭南丸はクロミンククジラ調査中にシロナガスクジラを発見した中周辺海域に特別な調査コースを設定し、実施した。 また3月10日にクロミンククジラ調査終了後、西へ移動しながら当日の調査終了時刻までシロナガスクジラ調査を行なった。 第二昭南丸はクロミンククジラ調査終了地点から西へ、氷縁沿いに移動しながら、昭南丸によるシロナガスクジラの発見が集中していた東経143度13分周辺に至るまでの間、シロナガスクジラ調査を行った。
ホバートから調査海域及び調査海域からホバート間の移動航海中、接近方式での目視調査を実施した。 オーストラリア200海里内ではオーストラリアの国内法により発見鯨から半径100メートル以内には接近しなかった。 200海里内ではバイオプシー実験は実施しなかった。
本調査は、クロミンククジラ目視を最優先としているが、IWC/SOWERの一環としてシロナガスクジラに対しては可能な限り鳴音録音、ビデオ撮影、潜水時間測定実験、自然標識撮影、バイオプシー採取実験を実施した。 本年はシロナガスクジラの発見が多く、乗組員の協力もあり、鳴音録音実験の規模は例年に比べ大きかった。
バイオプシー採集は、ラーセン銃、コンパウンドクロスボウ、の何れかを使用し標本採集を試みた。 最優先鯨種はシロナガスクジラ、セミクジラ及びザトウクジラとし、シャチについても優先順位は低いが機会があれば実施した。 標本は二等分し、IWC標本はDMSO保存、日本側標本は冷凍保存とし日本入港後は独立行政法人水産総合研究センター遠洋水産研究所が管理した。
自然標識撮影実験の対象鯨種はバイオプシー実験同様シロナガスクジラを最優先とした。 ザトウクジラは上記と同様、各船の状況判断により実施した。 写真撮影と平行して、自然標識及び行動記録としてのデジタルビデオ撮影も行った。
潜水時間測定実験では、自然遊泳状態のシロナガスクジラの噴気間隔を、ストップウォッチあるいはテープレコーダーを用いて測定した。 本年は、海洋観測は実施しなかった。
各船首席調査員は、様々な氷縁情報を併せて、最北、最南そして最良推定として氷縁を記録した。 調査員は航海士の協力の下に海上漂流物の観察を実施し記録を行った。
調査海域(移動航海も含む)における総努力量は3,348.6マイルであった。 調査海域内で両船合計473群1,776頭の発見があった。これら鯨種別の発見結果を表10に示した。 2002年1月30日(昭南丸)、2002年2月5日および9日(第二昭南丸)にそれぞれ距離角度推定実験の本実験を実施した。 調査中シロナガスクジラを対象とした鳴音録音を78時間行った。 両船が採集したバイオプシー標本は、シロナガスクジラ15標本、ザトウクジラ1標本であった。 また、シロナガスクジラ14頭、ザトウクジラ3頭について自然標識を撮影した。 シロナガスクジラを対象として、5時間15分のビデオ撮影を実施した。 シロナガスクジラ潜水時間測定は2群に対して60分間実施した。 本調査中に発見された海上漂流物は、漁業用浮子6件、発泡スチロール2件,プラスチック瓶6件、プラスチックコンテナ1件、ドラム缶4件であった。

表10 南極海鯨類目視調査における鯨種別発見群頭数(含トランジット)
群数 頭数
普通型シロナガスクジラ 10 26
型不明シロナガスクジラ 4 9
シロナガスクジラらしい 1 2
ナガスクジラ 14 43
イワシクジラ 6 7
ザトウクジラ 26 46
ザトウクジラらしい 1 1
クロミンククジラ 106 379
クロミンククジラらしい 2 2
型不明ミンククジラ 33 68
ドワーフミンククジラ 2 2
ミンククジラらしい 50 59
マッコウクジラ 9 9
ミナミツチクジラ 1 23
アカボウクジラ 2 7
ミナミトックリクジラ 25 44
ミナミトックリクジラらしい 7 13
ミナミオウギハクジラ 1 2
ヒモハクジラ 1 1
オウギハクジラ属 6 15
アカボウクジラ科鯨類 55 98
シャチ 14 291
ヒレナガゴンドウ 2 175
ゴンドウクジラ類 3 238
ダンダラカマイルカ 19 71
シロハラセミイルカ 1 30
メガネイルカ 5 15
ダンダラカマイルカらしい 1 5
種不明鯨 21 27
種不明大型鯨 3 4
種不明大型ヒゲ鯨 29 49
種不明小型鯨 11 12
種不明小型鯨類 2 3

(c.2) 鯨類目視調査事業(北西太平洋)
第二共新丸を用いて実施した。 調査は沖合域調査と沿岸域調査にわかれ、前半の沖合域調査は、2002年6月4日から9月8日にわたって北西北太平洋の7海区、8海区及び9海区を調査海域として実施した。 また、後半は沿岸域調査として9月10日から29日にわたって主に7海区の北側の沿岸域を中心とした海域を調査した。
以下の3名が調査員として乗船した。

記録担当:   伊藤 真(日鯨研調査部観測調査室) 沖合域調査 / 福留 和貴(日鯨研調査部観測調査室) 沖合域調査及び沿岸域調査

運航担当:   木村 巧(共同船舶梶j 沖合域調査及び沿岸域調査

(c.2.1) 沖合域調査

沖合域調査では、同時に調査している鯨類捕獲調査とは独立して目視調査を行い、3,443.9マイルの距離を探索してミンククジラ6群9頭、ニタリクジラ54群69頭、イワシクジラ46群81頭、及びマッコウクジラ48群61頭を始めとして合計451群6,117頭に及ぶ鯨類を発見した。 これらの発見鯨種及び発見群頭数を表11に示した。

表11 第2共新丸が目視調査中に発見した鯨種別の発見群頭数(2002年6月4日から9月8日)
群数 頭数
ミンククジラ 6 9
ミンククジラらしい 2 2
シロナガスクジラ 4 6
ナガスクジラ 7 8
イワシクジラ 47 82
ニタリクジラ 54 69
ザトウクジラ 3 4
マッコウクジラ 66 92
シャチ 18 106
ツチクジラ 1 8
種不明オウギハクジラ属鯨類 1 1
種不明アカボウクジラ科鯨類 14 23
イシイルカ型イシイルカ 21 75
型不明イシイルカ 2 6
カマイルカ 12 733
セミイルカ 6 1,071
マイルカ 53 1,177
スジイルカ 34 1,370
オガワマッコウ 1 1
ハナゴンドウ 7 63
種不明ゴンドウクジラ類 2 6
種不明大型鯨類 53 53
種不明イルカ類 62 1,463
種不明鯨類 16 18

(c.2.1.1) 海洋学的調査

CTD観測(51回)、EPCSによる表層海水中クロロフィル等の連続観測(93日分)、計量魚探データ(4,177.6マイル)などの海洋環境のデータ収集を行った。

(c.2.1.2) 自然標識記録(Photo-ID)

シロナガスクジラ1頭の自然標識記録を撮影した。 これら撮影された映像の確認の後に、有効な記録簿を作成する予定である。

(c.2.1.3) バイオプシー採取

バイオプシーについては、標本を採取する機会が得られなかったが、調査中にマッコウクジラもしくはマッコウクジラと思われる死骸が漂流しているところを発見し、これらの死骸から体表組織の採取を行った。 これらの試料は遺伝学的な研究に使用される予定である。

(c.2.1.4) 大型鯨類の索餌行動観察記録

ニタリクジラ2頭の索餌行動に関係する行動観察記録として、写真撮影等を行った。

(c.2.1.5) 距離角度推定実験

距離角度推定実験は、予備実験の後、2002年8月23日に本実験を実施して目視データの精度管理に関する情報を収集した。

(c.2.2) 沿岸域調査

沿岸域の目視調査では、681.5マイルの距離を探索してミンククジラ52群56頭、イワシクジラ1群1頭、及びマッコウクジラ62群106頭を始めとして合計198群421頭に及ぶ鯨類を発見した。 これらの発見鯨種及び発見群頭数を表12に示した。

表12 第2共新丸が目視調査中に発見した鯨種別の発見群頭数(2002年9月10日から9月24日)
群数 頭数
ミンククジラ 52 56
ミンククジラらしい 9 9
イワシクジラ 1 1
セミクジラ 1 1
マッコウクジラ 62 106
シャチ 2 6
ツチクジラ 4 13
種不明アカボウクジラ科鯨類 4 9
イシイルカ型イシイルカ 29 98
リクゼン型イシイルカ 5 25
型不明イシイルカ 15 46
種不明大型鯨類 1 1
種不明イルカ類 9 46
種不明鯨類 4 4

(c.2.2.1) 海洋観測

CTDによる海洋観測を調査海域内において33点実施した。 また、EPCSによる海表面環境データ収集を調査海域内において合計17日間のデータ収集を行った。

(c.2.2.2) 自然標識記録(Photo-ID)

自然標識撮影は実施しなかった。

(c.2.2.3) バイオプシー採取

セミクジラ1群1頭に対してバイオプシーサンプルの採取を試みたが、失敗した。

(c.2.2.4) 大型鯨類の摂餌行動観察記録

摂餌行動は観察されなかった。

(c.3) カリブ海における鯨類目視調査

本調査は、カリブ海における鯨類、特にザトウクジラの分布状況を把握することを目的に、カリブ諸国の水産局と当研究所とが共同で2000年以降、毎年実施しているものである。 今年の調査は、2002年3月19日から23日にかけてセントヴィンセント・アンド・ザ・グレナディーンズからグレナダにかけての沿岸海域において行われた。 調査には、セントヴィンセント水産局の調査船ブラック・ジャック(13トン)があたり、調査員として当研究所の吉田嘱託研究員(現在は遠水研)がセントヴィンセント並びにグレナダの水産局員と共に参加した。 調査期間中、227マイルにわたって探索を行ったが、全般的に海況が悪くバンドウイルカ1群15頭を発見したのみであった。

(c.4) 研究の進展

IWC/SCにおけるクロミンククジラ資源量推定の作業部会が、下関で開催された第54回IWC/SCの会期前と会期中に開催され、これに対応して下記研究を報告した。

(c.4.1) クロミンククジラ資源量推定のための目視データの層化の検討(袴田高志、松岡耕二)

目視データの異なる層化の仕方が資源量推定値にどう影響するかを検討した。 検討のためにIWC/IDCR・IWC/SOWERの2巡目、3巡目の目視データを用いた。 調査モード、目視調査船、年度、調査海域の南北などで目視データを層化し、層化した各データ間で、発見横距離、群サイズに有意差があるかどうかを分散分析により検定した。 その結果、発見横距離、群サイズに目視調査船間では有意差はなかったが、調査海域の南北間では有意差が見られた。 その結果、資源量を推定するためには、調査船別に層化して解析するよりも、調査海域の南北別に層化解析すべきであることが結論づけられた。 更に、調査海域の南北別にデータを層化して資源量推定値の再解析を行った。 その結果、年度によって、資源量推定値が以前の値に比べて−9.2から46.6%の増加を示した。

(c.4.2) g(0)の違いによる鯨類の資源量の違い(田中栄次(東水大)、松岡耕二、袴田高志)

g(0)(トラックライン上での発見確率)の値は本来1より小さいはずだが、真の値がわからないため、その値を1と仮定して資源量を推定する。 本研究では、g(0)を1と仮定した場合と、1未満と仮定した場合とを比較することにより、資源量推定値にどれだけの偏りが生じ得るかを検討した。 そのような偏りの程度を表すための計算式を導出し、IWC/IDCR・IWC/SOWERのデータに当てはめた。 本研究は東京水産大学との共同研究として行われた。

(c.4.3) IWC/IDCR・IWC/SOWER概要レビュー(松岡耕二、ポール・エンサー、袴田高志、島田裕之、西脇茂利、笠松不二男、加藤秀弘)

南極海におけるクロミンククジラの資源量推定を目的として1978/1979年から開始された国際鯨類調査10ヶ年計画(IWC/IDCR)は、1996/1997年より南大洋鯨類・生態系調査(IWC/SOWER)と名称の変更はあったものの、一貫して南極海全域のクロミンククジラ資源量推定を目的とした調査を実施し、現在も継続中である。 この23年間における主に目視調査方法の概要と変遷を、IWC/IDCR創成期にかかわった多くの研究者からの資料提供を基にまとめIWCに提出した(SC/53/IA6,SC/54/ForInfo12)。 IWC/IDCR・IWC/SOWERの解析にあたり非常に有益な情報として評価され、現在Journal of Cetacean Research and Management で審査中である。

(c.4.4) IWC/IDCR・IWC/SOWERにおける目視条件(群サイズ、発見手がかり、発見緯度及び海況)がクロミンククジラ資源量推定変数に与える影響(村瀬弘人、松岡耕二、袴田高志、西脇茂利、森 光代(東大海洋研))

IWC/IDCR・IWC/SOWERにおいて、群サイズ、発見手がかり、発見緯度及び海況がクロミンククジラ資源量推定変数である、有効探索幅、平均群サイズ及び発見縦距離に与える影響を検討した。 解析の結果から、群サイズが1から2頭で発見手がかりがボディーの発見は、見逃されている可能性が示唆された。 結果は第54回IWC/SCにSC/54/IA17として提出した。 IWC/SCでは、この結果について議論がなされ、ある目視条件下では、見逃し係数(g(0))が1でないということを証明する材料を提供したとの合意に達し、今後のクロミンククジラ資源量推定作業に大きく貢献した。 結果を論文にとりまとめ、Journal of Cetacean Research and Managementに提出し、現在審査中となっている。

(c.4.5) IWC標準資源量推定法によるクロミンククジラ資源量推定の問題点と今後の対応(松田裕之(東大海洋研)、村瀬弘人、森下丈二(水産庁))

IWC標準資源量推定法によるクロミンククジラ資源量推定の問題点と今後の対応法について検討した。 g(0)が1以下である可能性、平均群サイズの変化が調査デザインや他鯨種の資源量増加が影響している可能性、また、資源量の変化が経年変化ではなく、ある特定の年の特定の海域の天候条件の影響で分布変動していることに起因している可能性などを指摘し、これらの点を考慮していないIWC標準資源量推定法による絶対資源量値の推定に限界があることを指摘した。 結果は、SC/54/IA11として第54回IWC/SCに提出した。

(c.4.6) 南極海W区における海氷変化とクロミンククジラ分布の関係に関する解析(島田裕之(遠水研)、村瀬弘人)

IWC標準資源量推定法によるクロミンククジラ資源量推定の問題点と今後の対応法について検討した。 g(0)が1以下である可能性、平均群サイズの変化が調査デザインや他鯨種の資源量増加が影響している可能性、また、資源量の変化が経年変化ではなく、ある特定の年の特定の海域の天候条件の影響で分布変動していることに起因している可能性などを指摘し、これらの点を考慮していないIWC標準資源量推定法による絶対資源量値の推定に限界があることを指摘した。 結果は、SC/54/IA11として第54回IWC/SCに提出した。

(c.4.7) IWC/IDCR・IWC/SOWERクロミンククジラ発見データと衛星海氷データを用いた海氷内資源量推定の予備結果(島田裕之(遠水研)、瀬川恭平(遠水研)、村瀬弘人)

IWC/IDCR・IWC/SOWERにおいて、調査船の調査出来ない海氷内のクロミンククジラ資源量推定を、3つの仮定に基づき行った。 海氷内のクロミンククジラ資源量の調査を行った海域の資源量に対する割合は2巡目では18から102%、3巡目では28から159%であった。 結果は第54回IWC/SCにSC/54/IA19として提出し、IWC/SCにおいて、この結果は調査船が調査の出来ない海氷内における資源量は、クロミンククジラ資源量を推定する上で無視出来ないという合意に至った。

(c.4.8) IWC/SOWER解析オプションによる資源量推定値の変動に関する研究(松岡耕二、袴田高志)

1998/1999年IWC/SOWERデータを用いて、解析オプションによる資源量推定値の変動を検討した。 解析オプション(各小海区で発見数が少なく、解析プログラムが要求する条件を満たさない場合、どの小海区のデータをプールしたらよいかというオプション)は、各小海区の発見横距離や群れサイズの分散分析結果を受けて北部の2つの小海区、南部の2つの小海区をそれぞれプールした。 その結果、北部海域と南部海域の気象条件を考慮せず、全ての小海区をプールしたセント・アンドリュース大学(イギリス)の結果より47%増加し、従来の解析オプションは資源量を過小推定している可能性が高いことを示した。 本結果は第54回IWC/SCにSC/54/IA15として提出した。


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